2013年3月12日火曜日

「また次の春へ」を読んで


日曜日のテレビドラマ「とんび」で人気の
重松 清さんの最新作
「また次の春へ」を読みました。

扶桑社刊1,470円

大震災を巡って紡がれる
家族と、その再生への光を描いた7つの物語。

あの日あの時から感じている、
あまりにも多くの悲しみと喪失の現実に
何か私ができることは、と行動しても、
果たして何かできたのだろうか、という
自分に対するもどかしさ、

そして再生への祈り、

再生という言葉がふさわしいのかどうかも、迷います。

喪失を感じている方々が、少しでも気持ちがラクに、
少しでも楽しく感じられることがあることを願うばかりです。

そんな状況の自分に作者の伝えたい思いが、
心の奥深くで共鳴したように思いました。

・・・・・・・
トン汁

おまじない

しおり

記念日

帰郷

五百羅漢

また次の春へ
・・・・・・・

数えきれないほどの家族それぞれに、
語りつくせない物語や思いがあります。

大海の一滴だったとしても
重松さんならではの視点と筆力で
語られたこの7つの短編。

私はとくに「記念日」が心に響きました。

心を配った気遣いが、間違っていることもある、
でも間違いを恐れずに関わっていくと、その誤解も溶けて、光が見える。

表題の「また次の春へ」の作品だけでなく
すべての物語に「また次の春へ」の光が見える気がします。

読み手の年齢や立場によって感想は
さまざまだと思いますが、
ぜひ、皆さんにもおすすめしたい一冊です。

「また次の春へ」
著者:重松 清
 扶桑社刊1,470円 
 扶桑社HP  http://www.fusosha.co.jp/

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